メッキの品質トラブル ざら・異物付着が発生する原因と対策
ざらつき(rough deposits)とは、メッキ浴中の個体浮遊物がメッキ層の中に入り込んで生じた小突起をいいます。メッキ表面のザラや異物発生による品質不良は、密着不良に次いで重大な品質トラブルであり、品質不良モードとして速やかな改善が必要になります
電解ニッケルメッキや亜鉛メッキでのざら・異物付着
電解ニッケルメッキや亜鉛メッキでは、メッキ浴中に、陽極板から陽極溶解に伴って発生した陽極金属の不溶解脱落微粒子(スライムという)が陰極近傍でメッキ析出に巻き込まれ共析し、突起状のザラが生成された状態になります。
製品からの持ち込み異物
被メッキ物に付着して持ち込まれた固形物汚れ、浴槽の破損から生成された金属化合物汚れ、あるいは外気や周辺雰囲気から入り込んだ汚れなどの陰極での共析による原因も考えられます。この場合の対策は、持込みを前段の水洗や周辺雰囲気の改善などにより低減させるとともに、ろ過能力の向上やろ過精度の向上でメッキ液の清浄化を高めることが必要です。
無電解メッキのザラ・異物付着
無電解メッキの場合でもザラに悩まされることがあります。無電解メッキの反応機構から、反応性がよければ選択的な被メッキ物表面どの選択反応以外に核反応が起きてNiボールと呼ばれるNi金属微粒子が生成され、メッキ表面に共析することがあります。
これを防止するには、メッキ液のろ過精度とメッキ槽の定期的な硝酸洗浄の向上と洗浄頻度の適正化が重要な対策になります。
硬質クロムメッキの花咲・異物付着
硬質クロムメッキは厚付けメッキすることも多くあります。製品の先端部など電気が集中しやすいポイントは花咲と呼ばれるブツブツ状の皮膜が加工される場合があります。かぶり止めの設置などで予防することが必要です。
硬質クロムメッキ加工:先端の尖ったポイントは花咲不良になりやすい。
参考文献:めっき加工のツボとコツ Q&A 星野芳明 著