メッキの品質管理
一般的には、耐食性が高いことや、メッキの膜厚が一定であることや、素材と皮膜が密着していることが、良いメッキの条件とされています。 しかし、製品を見るだけでは耐食性が高いとか、膜厚がどれぐらい乗っているか、わかりません。こちらでは、メッキの性能を評価する試験のうち、代表的なものをご紹介します。
メッキ皮膜の耐食性試験
代表的なものとして、メッキされた製品を塩水噴霧試験を使用して、メッキ製品の耐食性を評価します。製品に対して一定条件の食塩水を噴霧し、腐食状態を調べます。8時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間などで24時間連続噴霧で1サイクルとすることもあります。表面の腐食の面積でレイティングナンバーをつけて評価します。
その他には、自動車関連などで行われるキャス試験、コロードコート試験、亜硫酸ガス試験などがあります。
メッキ皮膜の厚さ試験
代表的なものとして、顕微鏡観察法があります。メッキ後の製品を切断し、切断面を見やすくするため合成樹脂の中に製品を埋め込み、切断面が平らになるように研磨して、顕微鏡で拡大してメッキの厚みを測定します。切断や研磨に精密に行う必要があるため、高い技術や費用を必要とします。断面写真とは、この方法で撮影 された写真のことです。
顕微鏡観察法
製品を断面方向から顕微鏡で拡大して観察する方法です。やり方は、合成樹脂の中に切断した製品を埋め込み平らになるように研磨して、顕微鏡で拡大して測定します。切断に技術が必要なことや試料の調整に手間がかかります。
電解法
電解式 膜厚測定器を使用して、メッキ皮膜を陽極として電解液中で電解を行い(皮膜を溶かして)、電解に要した電気量・時間・溶融金属量から、膜厚を測定する方法です。装置費用が比較的安く購入できるメリットがあります。デメリットは測定サンプルは、測定のためメッキ皮膜を溶かすので、測定品は製品として使用できなくなります。
蛍光X線法
蛍光X線式メッキ皮膜測定機が市販されており、一般的に普及しています。コダマでも2台導入しています。メッキされた製品に上部からX線を照射して、放射される蛍光X線の強度を測定してメッキ皮膜の厚さを求める方法です。装置費用は比較的高価ですが、測定精度も高く、測定スピードも速く、測定サンプルを非破壊で測定できるため測定品も製品として使用できます。
磁力式測定法
永久磁石の鋼製品に対する磁気反応を利用して測定する方法です。多層メッキには適用できません。
メッキの密着性試験
曲げ試験
メッキ皮膜の密着性を評価する代表的なものとして、曲げ試験と呼ばれる、試験片を規定の角度になるまで曲げ、湾曲部の剥離状態やヒビ割れなどを調べる方法があります。
テープ試験
メッキ試料に2mm間隔の基盤目状切り込みを入れ、セロハンテープを貼りつけた後、急速に強く引きはがします。
その他の密着性の試験
摩擦試験、ピール試験、加熱試験などがあります。
メッキ皮膜の硬さ試験
ビッカース硬さ試験法 JIS Z 2244
メッキ皮膜の硬度を測定する代表的なものとして、ビッカース硬さ試験法があります。試料に正四角錘のダイヤモンド圧子を押し込み、圧痕の対角線の長さから硬さを測定します。
メッキの場合、マイクロビッカース硬度計と呼ばれます。低荷重で測定可能な機器を使用し、メッキ皮膜の硬さを定量的に測定します。
ロックウエル硬さ試験法
圧子に鋼球やダイヤモンド円錐を用いて金属材料に押し付けた時の圧子の押し込み深さから硬さ値を算出します。
その他の硬さ試験法
ブリネル硬さ試験法、ヌープ硬さ試験法などがあります。