今回はメッキ処理の中で大事な排水処理について学びます。メッキ加工するには、様々な薬品を使用しています。使った薬品や水洗水は環境基準値以下になるまで、排水処理設備を使い、無害化して放流しないといけません。今回はコダマでも使用している毒物であるシアン系の排水処理について学びます。排水処理のことまで理解していないと一流めっき職人とはいえません。コダマの社員の皆さんはいつもお世話になっている(笑)シアン系排水処理についてしっかり勉強してくださいね!
シアン系排水処理の最も一般的なアルカリ系塩素処理法は酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム)を用いて、シアンを炭酸ガスと窒素ガスに酸化分解して、重金属を水酸化物として沈降分離する方法です。処理水はシアン1mg/L以下としないダメです。
次亜塩素酸ナトリウムによるシアン分解は、シアン化物イオンを1次反応でシアン酸に、2次反応で無害な窒素ガスと炭酸ガスに
1次反応反応 PH11になるように設定 |
1次反応 420mVになるように設定 |
1次反応では、pH10~11、酸化還元電位を380~420mVに維持するように水酸化ナトリウム及び次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加します。この反応時間は10分程度で終了します。pHが低いと塩素ガス、塩化シアンガスが発生しやすくなります。pHが高いと次亜塩素酸ナトリウムが過剰に添加されます。
2次反応 PH7になるように設定 |
2次反応680mVになるように設定 |
2次反応では、pH7~7.5、酸化還元電位は630~680mVに設定します。
酸の添加によりpHを下げるため、1次反応処理槽内で次亜塩素酸ナトリウムが不足で未反応のシアンが残っていると、有毒なシアンガスが発生します。逆に過剰であると塩素ガスが発生するので注意が必要です。
亜鉛、銅のシアン錯塩は、次亜塩素酸ナトリウムにより分解できるが、鉄、ニッケル、コバルト、金等の重金属シアン錯塩の処理は困難なため、常設のシアン排水処理に混入しないように注意が必要です。これらの重金属シアン錯イオンを含む場合は、不溶性錯体法やイオン交換樹脂など、他の方法との併用も考慮する必要があります。
シアンと言えばグリコ森永事件をことや、世の中では物騒な毒物で有名ですが、メッキ加工においては、優れた薬品で重宝されています。コダマでは、前処理でシアン電解、メッキでは、銅メッキ、亜鉛メッキ、銀メッキ、金メッキなども多く使われています。これからも薬品のことを理解して、徹底した薬品管理で、安全第一で使ってくださいね!