■開催日時 平成26年9月18日(木) 大阪商工会議所 7階国際会議ホール 担当記者 コダマ 専務
テーマ: やる気あふれる3K職場 ~ 新幹線清掃隊の現場改善力 講師 (株)JR東日本テクノハートTESSEI 矢部 輝夫 氏
講師:(株)JR東日本テクノハート TESSEI 矢部 輝夫氏
1966年 日本国有鉄道に入社され安全対策の専門家として40年以上勤務し、2005年に鉄道整備会社(今の(株)JR東日本テクノハート TESSEI )取締役経営企画部長に就任、現在 おもてなし創造部長
講演趣旨
私たちは、東北新幹線や上越新幹線のお掃除を担当する「お掃除の会社」です。社員数860名 平均年齢50歳 パートが40%です。9年前のTESSEIは、「お掃除」が専門と考え、JRからの受託業務を淡々とこなせばいいと考えていた会社です。本社主導でスタッフの想いが伝わらず、スタッフの意気が低下し、ミスやクレームの多い会社でした。テッセイへの異動を命じられた私の素直な感想は「あんなところに行くのか」という感じでした。一方で「どうせ行くなら、楽しい会社にしたい!」とも思いました。
現在、新幹線の車両清掃をしている会社 TESSEIが、数多くのツイッターでさかんにつぶやかれています。「清掃員の早技スゴすぎ!」 「新幹線の清掃隊かっけー!整列から一礼がビシっと決まっている!」 「新幹線清掃のおばちゃん、手際がいいだけではなく、礼儀もハンパない。マジ神」 新幹線の車両清掃の会社がツイッターだけでなく多くのメディアでも紹介されています。
今日は、どのようにお掃除チームの意識を変化させて、現場改善力を高めてきたのかをお話させていただきます。しかし、私ひとりの力ではありません。働く誇りを胸に当たり前のことを当たり前にやり遂げる。その人たちの七光りで今の私があります。
誇りと生きがい
現場で働く人がイキイキと仕事に取り組む環境を作るにはどうすれば良いか。私が考えたのは「誇り」と「生きがい」を持ってもらうことです。具体的には、7分間の奇跡(7分間ですべてをピカピカにしてしまう)をさらに進化させ続ける。日本の美徳 「礼」にこだわり続ける。スタッフのアイデアや想いを発信し続ける。それらを実践することで皆が誇りを持ち、イキイキと仕事をする環境が出来てきたのではないでしょうか。
仕事の再定義
私たちは自分たちの仕事を再定義しました。スローガンは、EVER WITH YOU(限りなくあなたと共に)です。私たちはサービス業である。人に感動を与える 想い出という商品を作っている。主役のお客様と脇役の私たちがシーンを共有するステージを作ります。新幹線劇場を提供します。それは、私たち自身の従業員満足を高め、お客様満足を高めることでもあると考えています。
価値観の変革
風土づくりは、まずは「本社」から。 スタッフの建設的な提案に対して「NO」と言わないことにしています。難しいことは会社から次の提案を出します。どんどんやっていく。二流、三流の戦略でもいい!一流の実行力をもつ!今では年間5000件の提案があり、事業所ごとにお金を分けて各自でやってもらっています。人は「人」に認められることによって、自分の役割や使命を認識し成長します。100の仕事をして、1つの失敗で、その人を否定すれば、やる気をなくします。99は良い行いをしてきたからです。
成功体験の共有
気づき、・共感・共創 共育する。こうすればお客様に喜んで頂けるという実体験を1万8千件のエンジェルリポートにまとめています。模範行動の取得や認め合うことの大切さ、会社が求める姿を皆で学ぶ。成果をフィードバックします。みんなで認め合う。表彰制度を多く行う。当たり前のことをほめる必要がない。と考えるのは違います。当たり前のことを当たり前にやることが大事ではないでしょうか。
「改善」
リーダーの真剣さ、本気、想い、熱意で決まります。トップダウンで始まりボトムアップで完成します。テッセイでやることは、さわやか、あんしん、あったかです。本質・根本は自分たちの仕事の質を高めること。そこが、本業が不充分では、おもてなしがいくら最高だと言っても意味がありません。テッセイの最高のおもてなしは、早くて、正確で、完璧な社内整備 お客様に「さわやかな空間」を満喫していただき「あんしん」してご利用いただくことです。
組織のインテグレード
働く人ひと、一人ひとりの「工夫」「努力」「熱意」「誇り」によって達成されます。 1×100 (ひとりの人間が100の力を出す会社)=100×1 (百人の人間が1の力を出す会社) テッセイは100×1の会社ですが、2→3→4→5に改善し続けてくれる会社です。やることは、さわやか、あんしん、あったかです。そこには、新しい3K 感謝、感激、感動があります。 人のことを言う前に自分を高めることが大切です。一緒になって、共育、協育、驚育、鏡育していくことです。あなたが、みんなの前に立った瞬間から鏡育が始まっています。あなたの話すその一言で、励まされ、夢を持ち、腹が立ち、がっかりし、泣かされる。ほんのわずかな一言が不思議な大きな力をもちます。
最後に
「たかが掃除」と仕事になんの希望も持っていなかったスタッフの多くがテッセイで劇的に変化しました。私が変えたのではありません。もともと持ち合わせていた自分の想いを率直に、仲間に語り、実践し始めたのです。その姿は、どんな仕事にも共通する本質が隠されているように思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。